予想通りに不合理2

読書の続きだ。読み進めるうちにどんどん面白くなってきた。

社会規範と市場規範という二つの対立する概念が登場している。

今までは全く無意識の概念だったが、これが不思議なことに、語彙を知った瞬間、すっと懐に馴染んでくる。あーこれこれ、と言わんばかりに。

社会規範は、お金に縛られない、人間の信頼関係などを重きに置く場の概念。

市場規範は、お金によってコントロールされるフェアで無機質な概念。これにより友好関係が結ばれることはまずないが、迅速で安心できる公平な取引が可能となる。

 

今回興味深かったのは以下の点。

 

・恋愛において給与水準などの希望を掲げることは、社会規範に市場規範を持ち込むことになり、うまくいかない可能性が高まる。

マッチングアプリ等で、年収1000万以上とかいう条件を出してる奴がいるが、そんな条件を出してしまっては、男側も商取引感覚になり、それでは相手は十分なメリットを現状もその先も提供してくれるのか、と訝ることになるだろう。

 

・無料の二つの側面。一つは、無料は需要を爆上げする力があるということ。1円との間には大きな違いがある。もう一つは、無料が単なるギブアウェイの場合、市場規範でなく社会規範の方を促してくるため、我々は他人の利益や自身のメンツなどを考慮し、行儀良い振る舞いをしがちだということだ。(飲食店店頭のキャンディなども一人2個以上もらう図太い神経の人はなかなかいないだろう)

 

・無料は社会規範を、有料は市場規範を、労力はその中間の性質を誘発する。